1.確定拠出年金(Defined Contribution:略してDC)とは
・企業年金の一種で、文字通り、拠出する金額は決まっていて、給付される金額は運用次第で変わるという年金制度です。
・公的年金の一種と位置付けられ、基盤となる国民年金、その上に位置する厚生年金と別に運用される年金です。
・3階建の年金と言われることもあります(国民年金:1階、厚生年金:2階)。
・低金利、低成長の中で誕生した制度で、アメリカの401kを基にしたことから、しばしば日本版401kと呼ばれます。
・確定拠出年金法により規定され、2001年(平成13年)10月から施行されました。
2.確定拠出年金の加入者区分
大きく分けて、企業型と個人型から成ります。
(1)企業型年金
厚生年金適用の事業所が、企業の規約に基づいて制度設計され、その企業に属する従業員を加入対象とします。
規約により資格を定め、該当しない人を加入者としないこともできます。
(2)個人型年金
企業型年金に加入できない人を対象にした年金制度です。
国民年金の第1号被保険者(第1号加入者)と企業年金のない第2号被保険者(第2号加入者)が対象となります。
但し、次の人は個人型年金に加入できません(すでに加入していた人が運用指図者になることはできます)。
・60歳に達した人
・国家公務員、地方公務員(私学共済は加入可能)
・国民年金の第3号被保険者
・国民年金の保険料を免除されている人(法定免除については生活保護のみ対象で、障害基礎年金受給者などは加入可能)
・農業者年金の被保険者
・企業年金(確定拠出の企業型、厚生年金基金、確定給付企業年金加入者、適格退職年金受益者等)対象者
※2017年1月より、他の企業年金の加入者、共済年金加入者、国民年金第3号被保険者も加入可能となります。
次のような概念もあります。
(3)加入者
加入して、掛金を拠出しながら運用を行う人。
(4)運用指図者
加入はするが、掛金を拠出せず、運用のみを行う人。
企業型の場合は、60歳までは必ず加入者となるため、該当する人は60歳に達した後に限られます。
個人型の場合は、加入者となれない人だけでなく、掛金を拠出しない人も該当します。
3.メリット、デメリット
以下がすべてではないが、主なものを列挙します。
確定給付型の年金制度と相反するものが多いです。
(1)メリット
・年金資産の持ち運びが可能
・転職による有利、不利はない
・税制面での優遇
拠出時の損金算入(企業)、所得控除(個人)
運用益に所得税、住民税がかからない
・公的年金と異なり、1か月あれば受給権は発生する。
・(企業型)積み立て不足の概念がなく、後発債務も発生しない
・(企業型)社会保険の算定対象外(企業が拠出した額に限る)
(2)デメリット
・運用リスクを個人が負う
・原則として早くても60歳までは引き出せない
・(企業型)投資教育が必要
・(個人型)何かと手数料がかかる