確定拠出年金(日本版401k、DC制度) 2

4.企業型年金
(1)制度の導入と導入後の手続き(企業)
 導入の検討から制度開始まで6か月~1年程度かかることが多いです。
 [必要な社内手続き]
 ・制度の導入に関する労使合意(厚生年金保険被保険者の過半数で占める労組、ない場合は過半数代表者との合意)
 ・運営管理機関、資産管理機関の選定開始(契約書等の調印)
 ・制度変更に関しての従業員への説明
 ・運用商品の選定
 ・加入者教育(義務規定)
 ・就業規則、退職金規定等の変更届け出(過半数代表者等の意見書を添付して労働基準監督署へ)
 [規約関連]
 ・方針決定(対象者、掛金、勤続3年未満の者への掛金返還規定等)
 ・規約作成
 ・規約仮申請、本申請(地方厚生局へ)
 ・規約承認
 [導入後の手続き]
 ・掛金拠出
 ・加入者継続教育(2011年8月10日より義務化)
  
 企業の拠出金については全額損金(必要経費)算入、加入者の運用益や利息に対しての課税は行われません。
 加入者としての立場では、一般の金融商品は20%の源泉分離課税されることを考えると、その課税分も運用に回せることから有利であるといえます。

(2)拠出限度額
 現在の制度では、すべて企業拠出のみであり、その限度額は次の通りです(2014年10月改正)。
 企業と従業員のマッチング拠出が、2012年1月1日から可能になりました。

 実際には、規約に定める必要があり、徐々に増えてはいます。
 ・ほかの企業年金の加入者である人・・・月27,500円(年33万円)
 ・ほかの企業年金の加入者でない人・・・月55,000円(年66万円)

 

 ※2017年1月より、年単位での規制となります(月単位の上限額は同じ)。但し、前月分の使い残しを翌月分で拠出することはできません。賞与からの一括拠出は可能です。

(3)課税関係
 拠出金は全額損金算入あるいは必要経費となります。

(4)退職する場合
 従業員が退職する場合についての企業の義務としては法律上特段の規定は設けられていません。
 企業を退職する場合は、個人別資産を、当該企業型年金には退職後の翌月から最大で6か月間しか置いておくことができません。
 つまり、6か月以内に、ほかの確定拠出年金制度に移行するか、(5)の条件を満たす場合に脱退一時金の請求を退職者自身で行う必要があります。
 その場合、今ある資産はすべて現金化して移管する必要があります。
 個人型年金に移行する場合は手数料がかかり、その体系については、後述しています。
 なお、6か月経過後に手続きを行わない場合、国民年金連合会に自動移管され、以下のようなデメリットが発生します。
 ・全く運用ができなくなる
 ・老齢給付金の受給可能年齢になっても給付が受けられない
 ・自動移管の期間は、確定拠出年金の正式な加入期間とはみなされない
 ・個人別管理資産から毎月51円(2014年4月改定)の管理手数料がかかる
 ・自動移管されるとき(3,240円(連合会が業務を委託する先に対する手数料)+1,029円(連合会に対する手数料))と、自動移管状態から個人型(1,080円+2,777円(国年基金連合会の手数料))および企業型年金(1,080円)に移管する際に二度の手数料がかかる(2014年4月改定)

(5)脱退一時金(企業型から直接脱退できる要件)
 2005年10月より、資産が15,000円以下と極めて少額の場合は、退職後6か月以内に手続きをすることにより、企業型年金から直接脱退することができるようになっています。
 但し、脱退に際する手数料(4,104円:2014年4月改定)は差し引かれますし、一時所得として所得税、住民税の対象となります。

(6)運用指図者
 企業型の場合、少なくとも60歳になるまでは拠出を続けなければなりません。60歳以降で拠出をしない場合はそのまま運用指図者として給付期間前、給付期間中は企業型年金において運用のみを続けることができます。

5.個人型年金
(1)事務手続き(個人)
 加入手続きは各金融機関で行います。
 企業型年金からの移管の場合も同様です。
 国民年金基金連合会のサイトに運営管理機関の一覧があるので参照してください。

 各運営管理機関により、投資対象の商品、サポート体制、手数料体系も異なります。大手の金融機関でなく、新興の金融機関では運営管理機関に支払う手数料が無料のところもあります。(4)の手数料体系、をご覧ください。
 なお、一般の口座開設と異なり、web上で手続きを行うことはできません。必ず書面での手続きが必要となりますので、事前に必要書類を取り寄せてください。

(2)事務手続き(企業)
 企業型年金を導入していない企業が制度として個人型年金を導入したり、転職によって個人型年金に移る場合が想定できます。
 第2号加入者の場合は、企業が運営管理機関を通して書類の申請を行い、返却された事業主証明書を添付した加入申込書を加入者自身で国民年金基金連合会に提出します。この場合の掛金は、原則は給与天引きですが、書類の申請をする際に、理由書を添付して個人払込みにすることは可能です。
 投資教育を行う義務が課せられていませんし、企業型年金を導入する際の各種手続きがいらないので、低コストで導入することが可能です。
 なお、就業規則の変更が必要です。

(3)拠出限度額(2010年1月より)
 ・第1号加入者・・・月68,000円(国民年金基金掛金、国民年金法の付加保険料を含めた金額)
 ・第2号加入者・・・月23,000円(他の企業年金に未加入の者)

 

 ※2017年1月より加入可能となる下記の者に対する限度額

 ・第2号加入者・・・月20,000円(企業型年金のみの加入者)

        ・・・月12,000円(確定給付型年金の加入者(企業型年金と別に拠出可能))

                (共済年金の加入者)

 ・第3号加入者・・・月23,000円

(4)課税関係
 掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」となります。
 社会保険料控除ではないので要注意です。全額控除には変わりありませんが、家族単位で控除できるか否かの違いがあります。具体的には、社会保険料控除は生計を一にする世帯内の収入の多い人の所得からまとめて控除できますが、小規模企業共済等掛金控除は、本人の所得からしか控除できない点が大きく異なります。

(5)手数料体系
 個人型年金に加入(移管)して運用する際には何かと手数料がかかるので、その点も注意する必要があります。
 ・国民年金基金連合会(加入手数料:2,777円、加入者の口座管理手数料:月103円)
 ・運営管理機関
 ・事務委託先金融機関(信託銀行)
 に分けて考える必要があります。

 毎月発生する手数料をカバーする意味で税制面での優遇(所得控除、運用益および利息の非課税など)があるといえます。
 これは掛金の多少によって変わることはありませんので、なるべく多くの額を拠出してほしいということなのでしょうか。

 運営管理機関によって異なる部分の手数料比較に関しては、以下のサイトが参考になると思います。
  http://www.benefit401k.com/Morningstar/401k-PortabilityGuide/doc/select_03.html


(6)脱退一時金
 個人型年金の加入者になれない者(第3号被保険者など)で、企業型から直接脱退できない場合は、一度個人型年金に移管して(その際も手数料は発生する)脱退することになります。この場合は、個人型年金の移管と同時に行う必要があります。
 手数料、税制に関しては企業型の場合と同じです。

(7)運用指図者
 個人型年金で掛金を拠出しない、拠出できない人が運用のみを行う者です。

 

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