6.給付金
(1)給付金の種類
給付金は以下のようなものがあります。
・老齢給付金
・障害給付金
・死亡一時金
・脱退一時金
(2)老齢給付金
①支給の方法
原則は年金として支給しますが、企業型の年金規約で定めた場合は一時金とすることができます。
②支給要件
次のとおりです。
なお、70歳になれば、強制的に裁定されて老齢給付金を支給します。
ただし、障害給付金の受給権者には支給がありません。
老齢年金を請求できる年齢 | 通算加入期間 |
60歳 | 10年以上 |
61歳 | 8年以上 |
62歳 | 6年以上 |
63歳 | 4年以上 |
64歳 | 2年以上 |
65歳 | 1月以上 |
③課税関係その他
年金として支給する場合は、国民年金、厚生年金等と同じく、雑所得として所得税、住民税が課税されます。
また、公的年金控除の対象となります。
一時金として支給する場合は、一般の退職金と同じく退職所得扱いとなります。
受給権の譲渡、担保提供、差し押さえはできないが、国税滞納処分により差し押さえられることはあります。
支給の際に432円(2014年4月改定)が控除されます。
(3)障害給付金
①支給要件
以下の要件に該当した時に、請求して受けることができます。
・障害認定日(初診日から1年6か月後、または治癒認定された日の早いほう)から、70歳到達の前日まで支給
・国民年金法の障害基礎年金(等級1,2級)に該当
②課税関係その他
すべて非課税です。
また受給権は譲渡、担保提供、差し押さえの対象にならず、国税滞納処分により差し押さえられることもありません。
支給の際に432円(2014年4月改定)が控除されます。
(4)死亡一時金
①支給要件
遺族からの裁定請求により支給されます。一時金のみで年金はありません。
②遺族の範囲と順位
・配偶者(事実婚含む)
・子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、主として死亡者の収入によって生計を維持していた者
・上記以外の者で、主として死亡者の収入によって生計を維持していた者
・子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で上記に該当しない者
③課税関係その他
相続税のみなし相続財産に該当します。
現行法では500万円×法定相続人まで非課税です。
非課税枠を超える分については、ほかの相続財産と合わせて、3,000万円×法定相続人の基礎控除(2015年1月以降死亡)を差し引いて計算します。
(相続税については、平成23年税制改正大綱で要件が厳しくなる予定だったのですが、国会の審議が通らなかったことから従前のままになっています。今後の法改正については注意を要します。)
受給権の譲渡、担保提供、差し押さえはできないが、国税滞納処分により差し押さえられることはあります。
支給の際に432円(2014年4月改定)が控除されます。
(5)脱退一時金
前回までにも記述しているので、概要にとどめておきます。
①企業型年金からの直接脱退
・会社を退職する際、脱退時の資産の合計額が15,000円以下などの要件があります。
②個人型年金からの脱退
企業型年金からの移管者を含めて、以下の要件をすべて満たす場合に請求可能です。
・60歳未満
・企業型年金加入者でない
・個人型年金加入者になれない
・障害給付金の受給権者でない
・通算拠出期間が3年以下、または資産額25万円以下
・最後に加入者の資格を喪失してから2年以内
2017年1月より、公務員、第3号被保険者の方は要件から外されました。
③課税関係その他
一時所得として所得税、住民税が課されます。
実際には50万円の控除があるので、ほかの一時所得(生命保険満期金など)が同一年にある場合でもなければ、課税されないことがほとんどだと思われます。
手数料としては、脱退に要する手数料4,104円(2014年4月改定)が差し引かれます(個人型の場合は運営管理機関により異なります)。
(6)裁定請求先
運営管理機関に請求します。